始業式
五花街の仕事始めに当たる「始業式」。それぞれの花街では、黒紋付き姿に稲穂のかんざしで正月らしさを醸した芸妓舞妓が日ごろお世話になっている方々を訪ね、その年の精進を誓います。祇園甲部、宮川町、先斗町、祇園東では7日に、上七軒では9日に新しい一年がスタート。各歌舞練場で催される式では、前年に優秀な成績を収めた芸妓舞妓の表彰が行われた後、華やかな舞で新年を祝います。
祇園甲部の始業式は、理事長の発声により「芸妓・舞妓の誓い」
一、私たちは常に美しくやさしく親切にしましょう。
一、私たちは祇園の伝統を誇りとし、心の修養につとめ、技芸の習に励みましょう。
一、私たちは善良の風俗をみださないよう、清潔でありましょう。
一、私たちは京都の国際的地位を認識し、新知識の吸収に意を用い、視野を広めましょう。
一、私たちはつねによき風習を作り、みなさんから愛されましょう。
を唱和します。
次に前年に一番お花(売り上げ)が多かった芸妓、舞妓が表彰されるのですが、昔から、花街というのは物凄い競争社会です。
最後に祇園甲部では、当世の井上八千代さんが正月を祝う「倭文」を舞い始業式は終ります。先斗町では「梅の栄」、また宮川町ではその年の勅題に合わせた舞などを舞い初めとして披露されます。
芸・舞妓とも、お師匠さんの気を張り詰めた舞台に、新たな一年の芸の精進に誓いを立てることでしょう。芸妓・舞妓さんの華やかな正月の正装と新年を迎えるにふさわしい厳粛な雰囲気が印象的です。
ちなみに、毎年五花街の始業式はあるのですが、終業式の話は聞いたことがありません。
卒業式が無い理由はよくわからないのですが、芸の道に到達点は存在しない・・・あるのは終わりなき芸道の追求のみ、という考えが潜んでいるなら、何と素晴らしくも恐ろしい世界でしょう。
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